製造業のDX化の意義とERP/MES
-DX戦略を考える
弊社は製造業にとってDX化とは図1の様に製品開発(設計情報の創造)に最大限寄与し、顧客価値を最大化することを指すと考えております。そのためには以下の3つのテーマを考える必要があると考えます。
- 設計情報の転写・製造からのフィードバックを行うスピードを最速化
製品の設計情報をいかには速く製造設計情報へ変換するか、もしくは設計上の品質問題、不具合情報をいかに速く設計へ反映させるかのテーマ - 生産資源の極限までの適正化・効率化・削減・向上
4M(「Man」「Machine」「Material」「Method」)をいかに最適且つ効率的にマネージメント出来るかのテーマ - SCM指標の極限までの適正化・効率化・削減・向上
原価のミニマム化、品質の向上、リードタイムの短縮、在庫の適正化を行うテーマ
上記した3つのテーマを達成するためのマネージメントを行うしくみを構築する事が製造業のDX化の意義と考えており、
ERPやMESはそのための基盤の一つとして捉えています。
自動化を目指すために実施すべきこと、とは
DXとして実施することを考える
DX化を進めていけば図2の様に、実際の人、モノ、カネなどの動きをCyberWorldで捉え、自動的に管理していくことが可能になると考えられていますが、この理想的姿まで持っていくには様々な課題をクリアする必要があります。
弊社は自動化までのステップとして、まずはPhysicalの状態が理想とする状態とどれくらいの差があるかを把握し、その差の原因、真因を突きとめることが重要だと考えております。
この理想とする状態を「ターゲット状態」と称しており、マイクロザー氏の著書、「トヨタのカタ」から引用しております。
著書ではこの「ターゲット状態」を分かり易く説明するために“KPI”との違いとして表しています。(表1参照)
表の様にターゲット状態とはKPIの抽象度を下げより具体化したものとなります。結果として評価できる指標ではなく、常にウォッチすべき指標であり、この指標をターゲットに近づく様にアクションを取ることで結果としてのKPIが達成できるという考え方です。
まず最初のステップとしてICT化が担うべき役割はこのターゲット状態を正しく監視する事だと弊社は考えております。
図3がそのイメージとなります。一般的に生産性を向上させるためには稼働率の向上を行うという因果関係がありますが、この稼働率を「現在の2倍程度にする」という目標を立てただけでは達成することはできません。それゆえ、ターゲット状態として何を管理すべきかを明確化します。例えば段取り時間を180secにするというターゲット状態を設定し、現状がどうなっているかMES等で実績を収集しターゲット状態との差異を監視します。例えばターゲット状態を20%オーバーしたタイミングでアラートをあげ、この時の条件、原因を調べ対策を施すというアクションを取ります。そして再度差異の監視を続けターゲットを達成するまでこのサイクルを回していきます。かなり中長期で考えマネージメントを行わねばなりませんが、このアクティビティを行うことで自動化を実現するためのノウハウが蓄積していくと弊社は考えます
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◆トヨタのカタの紹介
武術におけるカタ(型)は、それを学ぶことで攻撃や防御などの基本動作を身に付けられる有用なものだ。また、仕事の段取りや交渉の進め方などに、自分なりの型や勝ちパターン、ルーティン(決められた一連の動作)があるという方も多いだろう。本書は「トヨタ生産方式」を支えるそうした基本動作、すなわちカタを明らかにした一冊だ。
「ジャストインタイム」「カイゼン(改善)」「なぜ5回」など、トヨタ独自のツールや原則に関する情報はあふれているが、それらを取り入れても、効果が薄かったり、一時的な成功にとどまったりすることも多い。しかも導入し終えた頃には、トヨタはさらに進化した手法を取り入れていたりする。著者によれば、その要因こそがカタである。
本書で解説されるトヨタのカタとは、それらのツールを機能させる前提となり、改善し続ける組織をつくるためのものだ。本書では、現場レベルから戦略レベルまで適用される「改善のカタ」、そのカタを組織に浸透させる「コーチングのカタ」を取り上げ、それらと一体となったトヨタのビジョンや他組織への応用も含め、余すところなく解説する。
著者は長年にわたり欧米企業にトヨタ生産方式の導入を指導してきた人物。長期的に圧倒的な差別化を生み出したい経営者はもちろん、マネジメントや生産性改善、日本型イノベーションに興味関心がある方には多くの示唆があるはずだ。ぜひご一読いただきたい。